長い間ガシガシ使えて、比較的手頃な値段のLeicaのフィルムカメラが欲しい。色々悩んだ末に買ったのがLeica M4でした。
他のLeica製カメラを所有したことはありませんが、結果的にLeica M4で大正解だったと思っています。
露出計が入っていない完全機械式のカメラなのでまだまだ修理はできるし、実用性重視の作りのおかげで変なストレスもありません。
「使えるビンテージカメラ」って感じ。
Leicaはすごい特別なカメラなんだと思いこんでいましたが、できることは絞りとシャッタースピード決めて写真を撮ることだけ。
古いカメラなので、当たり前ですが撮影に必要な設定は全部人間が決める必要があります。逆に言うと、人間の好きなように撮影できるということですね。
最初はけっこう大変ですが、慣れてくると他のどんなカメラよりも撮影に集中できます。
前置きが長くなってしまいました。それではLeica M4について見ていきましょう!
外観
人にカメラの絵を書かせるとたいていこの形に落ち着くのでは?というほど見慣れた外観。
見慣れているはずなのに、実物を目の前にするとやはりテンションが上ります。
Leicaといえばシルバー
Leica M4の多くはシルバークロームです。
限定モデルなどでブラックなどあるようですが、こういうレアなモデルは高くて手が出ないですね…。
Leicaの黒いモデルが欲しくなることを黒皮病などと言うそうですが、シルバーで十分カッチョいいです。
むしろフィルムカメラっぽくてこっちのほうが好き。
金属部分がシルバー、革が黒なので、レンズの色は何色でも似合いそう。
Voigtlander Nokton Classic 35mmという黒いレンズを使っています。
当初はシルバーのレンズじゃないと格好悪いかと思っていましたが、つけてみたら全然アリです。
真鍮製の軍艦部
Leica M4の軍艦部は真鍮製です。
今まで何台もカメラを触ってきましたが、こんなにも素手で触りたくないやつは初めてです…手汗と指紋がついちゃう…
流石に半世紀前のカメラなので、スレや細かい傷はあります。
でもね、パッと見てもわからない程度。使っている分には全く気になりません。
操作系もシャッターダイヤルと巻き上げレバー、クランクだけ!
露出補正??ドライブモード???そんなもの飾りです。偉い人にはそれがわからんのですよ。
見通しの良いファインダー
一般的に「カメラ」というものは、ファインダー(あるいは液晶)に写っている範囲が撮影されます。
しかし、Leicaはレンジファインダーというタイプのカメラ。
レンズとファインダーが完全に分離しているので、ファインダーで覗いた範囲がそのまま写りません!
「見えているとおりに撮影できない」というのは弱点のようにも聞こえますし、構図を細かく決めたい場合は確かに一眼レフのほうが扱い安いですね。
一眼レフはレンズを通して覗いた風景を撮影する感じです。
一方、レンジファインダーは自分の視界にフレームが表示されていて、そこから風景を「切り抜く」感じ。
どちらが良い、というよりは向き不向きの話ですかね。
目に映るものをバッサバサ切り取って撮影してく感触は一眼レフでは味わえません。
操作
そんなに紹介するほどの機能はありません。
シャッター速度決めて、フィルム巻き上げて、ピント合わせてシャッター切るだけですから。
Leicaが素晴らしいのは、こういった操作に一切無駄や扱いづらさがないこと。
変な抵抗感とか、操作のしづらさとか、皆無です。
スムーズなフィルム巻き上げ
驚いたのがフィルムの巻き上げ。
事前情報で「スゴい」「ヌルっとしている」とは聞いていましたが…。
フィルムの巻き上げは本当に快適です。
Nikon FAやAgfa Karat 36の巻き上げは、「ミチッ」とか「ガシャコン」的な感触ですが、Leica M4の巻き上げはほんとに「スチャッ」といきます…。
また、Leica M4以前の巻き上げレバーから形状が変わっており、ちょうど親指が当たる部分に可動するプラスチック部品がついています。
これは好みの問題かもしれませんが、僕は新しい形状のほうが使いやすいと感じました。
それと、Leica M4は分割巻き上げが可能です。
分割巻き上げではレバーを小刻みに動かすので、案外すばやく巻き上げられます。
それから、カメラを両手で持たなくても巻き上げが可能になります。あとなんかカッコいい。
2重像による素早いピント合わせ
これまたLeicaの特徴ですが、ピント合わせは2重像合致式といいます。
ファインダーの真ん中に2つの像が重なっている部分があり、像が重なって見えるとピントが合っている状態になります。
一眼レフだとピントが甘いことがしばしばあるのですが、今の所Leica M4でちゃんと狙ったピントが大きくハズレたことはありません。
また、写ルンですと同じ設定にしておけばピントを合わせる必要すらなくなるので、ファインダー覗いてシャッター切るだけで素早く撮影できますよ。
正確なピント合わせもできるし、大雑把な設定でシャッター切りまくりみたいな撮影もできます。万能じゃねーか!!
フィルム装填は慣れがいるかも
フィルムカメラあるあるのひとつに、「フィルムがうまく入ってなくて撮影できない」というのがあります。
最近は使いなれたカメラしか使っていなかったので、フィルムをオシャカにすることはなかったのですが… Leica M4でやらかしました…。
底蓋を開けて、フィルムを下から装填するのですが案外これが難しい!
ちゃんとフィルムが巻き上がってることを確認してから蓋を閉じましょう…
作例
露出計なしでの撮影は、想像以上に簡単でした。
上の写真は秦野駅前です。当日は晴天、使用フィルムは富士フィルム業務用ISO100。シャッタースピードは125、絞りは16に固定して撮影しました。
多少明るく写っても現像の際になんとかしてもらっています…。露光不足で暗く写ると補正は難しいそうなので、ちょっと明るいくらいでちょうど良い感じに仕上がります。
レンジファインダーは一眼レフとは違って、ファインダーで見ているものが撮れるわけではありません。この辺は富士フィルムのレンジファインダー風カメラで慣れていたので、案外すんなりと適応できました。
むしろ、撮影範囲外も見ながら撮影できるので、構図は決めやすいやも。
ノーファインダー撮影も罪悪感なく(?)できます。
フィルムカメラの良いところは、逆光でも写りが破綻しないこと。ファインダーは見えづらくなりますが、F値を絞ってやればだいたいピントが合います。
フレアが強く出ていますが、コレはVoigtlander NOKTON Classic 35mm F1.4 SCのクセですね。
Leicaはスナップ撮影向きだと思っていましたが、かなり使いやすいです!
一眼レフは、撮影時にカメラ内部のミラーが跳ね上がるのでシャッターを切るだけでちょっと手ブレが発生します。一方でLeicaのシャッターは横走り布幕フォーカルプレーンシャッター。
かなり噛み砕いて説明すると、2枚の布が横に移動するタイミングのズレで露光を行います。ミラーが跳ね上がるのに比べればシャッターによる手ブレが少ないわけです。
また、一眼レフ機と比べるとかなりコンパクトですから、取り回しも良くスナップ撮影と言えます。
フィルムLeicaの欠点は、撮影が楽しくてフィルム代・現像代がかさむことですw
Leicaを買って1ヶ月で12本ほどフィルムを使ってしまいました。デジカメを使っていた頃と比較すると6倍ほどの消費量。お金がポンポンなくなります…。
露出計がないので、たまに撮影に失敗することも。
使いづらいところ
フィルム装填失敗が多い
初めて購入したフィルムカメラにはよくあることですが、フィルムの装填がうまくできません…。
慣れていないだけだと思うのですが、10枚ほど撮影したあとにフィルム装填の失敗に気がつく…みたいなことが何度かありました。
このあたりはNikonなど国産のフィルムカメラの方が扱いやすいと感じます。
被写体に寄れない
レンジファインダー機の宿命ですが、Leica M4は被写体に70cmまでしか寄れません。
スナップ撮影で困ったことはありませんが、テーブルフォトなどでは苦労するでしょう。この辺は「そういうカメラだ」と割り切るしかありませんね。
一応、近接撮影対応のレンズなどを使うことで40cmまで寄れたりはするようですが、結局そういった機材の購入でお金が飛んでいきます。好きなら探しても良いかもしれませんね。
単焦点レンズしかない
これもレンジファインダーの宿命。ズームレンズは使えません。
単焦点レンズに慣れている人にとっては大した問題ではありませんが、やはりズームレンズが使えないと不便に思う方も多いでしょう。標準ズームレンズが1本あれば、大体の被写体は撮影できますからね…。
ここ数年は単焦点レンズばかり使っていますが、慣れてしまえば不便さは感じません。単焦点で撮影しているともっと寄りたいとか、もっと広角で撮影したい、とか考えることもありますが、「あ、この被写体は撮影できねーわ」と諦めることが肝心。さっさと次の被写体を探しましょう。
まとめ
偶然出会ってしまったLeica M4。
本当によくできたカメラでして、使い手の力量が撮影した写真にダイレクトに反映されます。
なんたって、暗い箱の中に、設定した量の光を決まった時間取り込むだけの道具ですからね。
一眼レフ機やデジタルカメラのように何でも簡単に撮影できるわけではないです。
寄れないし、ズームレンズは使えないし。露出計もないので、絞りやシャッタースピードもすべて自分で考えないといけません。
それでもLeicaは魅力的なカメラです。露出計は自分の目と記憶で代用し、シャッターを切る所作も自分の手足を動かすような感覚です。
値段的にも、使い勝手の面からも、簡単におすすめできるカメラではありません。しかし、本気でカメラを使いこなしたいという人には最適な道具です!
最後までお付き合いくださりありがとうございました!
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